脳がわかれば やさしくなれる その3

「先生 私ね 気づきかけていたのかもしれない。一番そう思えるのは 入試のとき。黒ずくめ、紺ずくめの人たちがいっぱい居て 体が カァ~って熱くなって ぶるぶる震えだして でも それは 入試の緊張のせいだと思ったんだけど 違っていたと思う。 だって すぐに 帰りたくなったし ここにいると潰れるっていう気持ちになったから でも わたしの前と後ろの席には 保育園からいっしょだった子が居てくれたから 他は見ないようにしてた。それに入試は1日半で終わるし だから 大丈夫って 自分に言い聞かせていた。大学で〇〇〇を勉強して それを活かした仕事をするって決めていたから 〇〇高校に行くしかないと思い込んでいた。家族も賛成してたから それがあたりまえってなってたと思う。」

「これまでの よくわからない頭痛の原因や目眩の原因、不安の原因、そんなのの多くが 見え過ぎから来てたなんて びっくりした。でも 一人で居る方が楽だし とにかく 知ってるような知らないような人に囲まれるのだけは 嫌。あとごちゃごちゃしている服を着てる人や大声で話す人も苦手。太い声の人が怖いし 高音で笑う人には近づけない。
視覚と聴覚は連動することも少なくないって 先生 言ったでしょ。あのとき あ~ やっぱりな って思った。」

「これは病気? 治せるの? 治らないとしたら 高校に戻るはできない?」彼女の表情が 少しくもった瞬間です。

わたしは 彼女の問いに こう返答しました

「☆☆さんのケースを 病気とは言いません。特性です。脳の特性。だから 治せませんが 治す必要もありません というか 治してはいけません。だってこれは 特性というよりも 才能といったほうが適切だからです。」

「でも あの教室には 戻れない。別に戻りたくはないけど 高校は どうしよう???」

「だから 私は 最初に言いました。先ずは 入室すると体調不良になる合理的な理由をさがしましょう。今後どうするのかは その上で 考えましょう、と提案しました。今から その話に入っていこうと思いますが ☆☆さんも この流れに 納得してくれますか?」

彼女の答えは「はい。提案を はやく 聞きたいです。」でした

それから 私と☆☆さん ☆☆さんとご両親 私とご両親 ご両親と高校の先生 という何度かの話し合いを持つことができました

そんな話し合いの中で 彼女が言いました
「この相談室でカウンセリングを受けることをすすめてくれたのは 保健室の先生なんだけど あの先生も 私の特性に気づいていたのかな?」

「入学式を入れても2日して登校していないのだから ☆☆さんの特性に気づくのには無理があるけど 登校すると体調を崩す☆☆さんのことを聞いて その背景に何があるのかを 突き止める必要があると感じたんじゃないかな。だって ☆☆さんは 成績も真面目さも とても優秀な生徒だから せっかく〇〇科に入ったのに 欠席の理由が ただの怠慢では 合理的な説明がつかないでしょ!?」

「そっかぁ。保健室の先生が〇〇先生で ホントよかった」 彼女のこの一言は とても印象的で 美しい言葉だと感じました。

・・・つづく・・・