脳がわかれば やさしくなれる その6

 脳(大脳)は 大きく4つの領域に分かれていて それぞれ 前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉と呼ばれてます
 そして それぞれ 違った役割を担っているため ぞれぞれの領域には 番地のように「番号」がつけられています
 脳全体では200番地までありますが 一番外側になる「大脳新皮質」は 52の領域に分かれいるので それぞれに 1~52の番地がついています

 今日は その中から「39番」と「40番」について 紹介します

 この39番と40番は 左脳にあり 視覚言語領域の下 聴覚言語領域の上に位置し ていて 文字を 音声に変換する役割を担っています

 視覚野に届いた「学習済み」の文字は その形状から 「文字だ」と判断され そのまま「視覚言語野」に「文字に関する情報」として届きます
 「文字」として届いた情報は 今度は 視覚言語野から 39野→40野に 運ばれ
そこで はじめて 音声に 変換されます(脳の中で文字情報が音声情報になる瞬間です)
 つまり 文字の並びが1つのかたまりとして 脳内で 音声に変換されることで そこで はじめて その複数の文字が表す意味につながることができる というわけです
 
具体的に いきます
例えば
「い」という平仮名と
「る」という平仮名と
「か」という平仮名の3文字が 並んでいるとします

これらの1つ1つの文字 それ自体には 意味はありませんが
この3文字を 音に出して読むことで 「いるか=海豚=イルカという海の生き物」を 思い浮かべることができます
文字という記号の並びが 意味につながる瞬間です

しかし もしも この3文字を スラスラと音に出して読むことができなかったとしたら・・・?

文字は いつまでたっても 意味につながっていきません
「い…る…か…」でも 「い…るか」でも「いる…か」でも 1個ずつとか 意味の切れ目ではないところで 切って音に出してしまうと 「いるか」という 海の生き物である あの「イルカ」につなげていくことは なかなかできません

つまり 文字は 続けて スラスラと 脳内で音読することで はじめて 意味につなげていけるというわけです

つまり ・・・ ?

どこまで スムーズに 文字情報を音声情報に変換できるか が 大切なポイントとなるということです

もしも 39野と40野の連動性 や 視覚野から視覚言語野の連動性に不具合があるとすうると
 「い・・・るか」
 「いる・・・か」
 「い・・・る・・・か」とか と なってしまい 文字は 意味につながっていかないことになります

 このような「連動性の不具合」から引き起こされる「困り」が
 Specific Learning Disorder(限局性学習症)です

もちろん 限局性学習症の種類は このようなDyslexia(読字困難・書字困難)だけではありませんし 原因も 39野と40野の問題だけではありません

見え方や聞こえ方のトラブルだったり 平面や空間の認識の仕方だったり 短期記憶の問題だったりなど 原因は 実にさまざまなです

そもそも 人間の脳は 文字読むための機能を備えているわけではありません
もとからある機能を使って 文字という発明品を 読んでいるに過ぎないので 各機能自体 又は 各機能の連動性に不具合がある人には 文字という発明品は 使いこなせないということが起こり得ます と ある脳科学者(仏蘭西国)も 言っておられます

ということで その6 でも 大切なメッセージは 同じです

それは
「本人の努力不足が 原因でない」 ということです


適切な理解だけが 適切な配慮・支援 を 可能 にします

もしも 「困り」の背景を 適切に理解しようとせず

「あなたは 練習がたりません」

「あなたは 頑張りがたりません」

このような言葉を 限局性学習症の人に 浴びせる人がいたとしたら どうでしょう?

そんな人は 人に学習を教えるプロである前に
「人権意識が皆無な人」か 
「適切な理解のための学びを怠る 教#失格」か

いずれにしても かなりのポン#ツ です


(注釈)本文中に 2箇所出てくる # には ピー音が入ります♪