それぞれの気持ち-①

「自分の気持ちに 正直に生きようとすると 理由の見えない違和感ばかりが 強くなってしまう・・・(涙)」と 
カウンセリング初日に 話していた高校生が 2021年3月1日の午後
「せんせ~い おわった~♪」と 笑顔で やってきました

「やっと 終わりましたね。。。長かったですか?」

「うん・・・(沈黙)・・・とても長かった カナ でも終わったから。。。」
目の前の椅子に座ると いつもの静かな口調で 返してくれました

2日後に 大学入試前期日程の発表をひかえている受験生としての緊張感など 微塵も感じさせない とても落ち着いた すっきりした表情でした

彼女は いつも 慎重に「ことば」を選びながら話す人でした
また 私の話しも 「丁寧に聴く」そんなタイプの脳の持ち主でした  

4月からは希望の大学で言語文化学を専攻しています(祝 合格♬)

新型コロナの感染状況や今後の見通しに動揺しながらも 第一志望でありつづけた「某国立外国語大学」を受験すると決めてからは 一度もぶれませんでした
勝ち気とか 芯が強いとか そんな表現では 説明がつきません
ひたすらに「真っ直ぐな気持ち」を持ち続けられる そんな生徒でした

彼女と初めて会ったのは 彼女が高校1年生の秋 高校に入学し 半年ほど経った頃でした

相談主訴の欄には「思ってたのと なんか 違う」 と
それだけが 書いてありました

それから1年半 月1回のペースで 自分と周囲の人に関する話が中心でした
自分の物の見方や考え方と 同級生との違い?ズレ? それらのことを ひとつひとつあきらかにしていく そんな作業が続きました
クラスに40人もの生徒がいる圧迫感を口にすることもありました
先生という人たちとの関係づくり、特に、精神的な安全を確保するための距離の取り方=合わせ方 について確認をすることもありました 
同級生は年齢が同じなのだから我慢ができる
でも 先生たちは 年齢が上というだけでなく職業として私たちに接しているのに どうして生徒である自分が 先生に合わせるためのコミュニケーションの取り方を身につけないといけないのか その不満の調整の仕方を知る そんな 時間になっていました

カウンセリングの中身が180度 変わったのは 2年生の終わりでした
彼女の未来に関することになりました
そして 学ぶべき内容、それが学べる大学を決めてからは、自分に合った学習の仕方とその効果・結果を評価する そんな時間として 2週に1度 来室来談するようになっていきました

彼女曰く
「この白い空間が好き とても落ち着く 無計画でいつも雑然としている学校とは違う。。。理由はわからないけど安心する。。。自分が話したことも 先生から聴いたことも いつでも何回でも 落ち着いて思い出すことができるていた」 
そんなことを言いながら 2021年春 彼女は東京の第一志望の大学 唯一受験した大学へと巣立っていきました

PCR検査で陰性を確認し帰省して2週間自宅で過ごした彼女が「せんせ~い ただいまぁ!」と5ヶ月ぶりにやってきました
しかし 卒業式の日と同じように 次の瞬間には 静かで穏やかな口調にす~っと戻ると
「先生から聞いていた通りだった。。。大学は高校迄とは全然違った。。。私にはとても合うところ。。。全然疲れない。。。いつも一人で居るけど 高校までとは違ってあの変な寂しさはない。。。好きなときに好きなだけ好きなことができる。。。誰にも邪魔されない。。。自分のペースでやっていける。。。図書館と学習室が特に好き。。。住みたいくらい。。。」
彼女は ニコニコと瞳を輝かせながら話し始めました

(②へつづく)