脳がわかれば やさしくなれる その2

「先生も 『教室に戻れる方法をいっしょに考えていこうね』って言うの?」と モロ どうせそうなんでしょ!?って 雰囲気で問われた私の答えは こうです

「逆かな・・・。 ☆☆さんが 入学式~最初の教室で過ごした40分ほどの時間で 相当な体調不良に陥ってしまった その合理的な理由を探っていくことを提案します
 そのとき何が起きたのか? 翌日も 数分も教室に居ることができなかったという その理由がわかってからでないと 今後のことは決められないよね?」

 ☆☆さんの肩の力が す~っと抜けるのがわかりました
 事前に 高校側から聞いていたとおり とても聡明で賢い人でした

 そこからが カウンセリングの始まりです
 白色の壁に包まれた静かなカウンセリング室で 彼女は 私からの質問に とても端的に でもとても丁寧に応えてくれました

 見えてきたことはこうです
 彼女は 小さな町の出身で 保育園から中学3年生まで 同級生10数名という環境で育ってきたこと
 教室の広さは 高校と変わらないくらいの広さなのに 置かれた机の間隔は  高校の2倍以上は開いていたこと
 そこには 気づいたら同級生という顔だけがいつも並んでいて 全校生徒は 小学校で50人~60人程度、中学校は30名くらいだったそうです
 そして 疲れを感じたときには 図書室に行けば いつだって一人になれてたし グランドは人数の割に広く 家族総出で参加する体育祭でさえ 「いつも スカスカだった」と この話になる頃には 静かな笑顔で 話してくれました

 わたしは「☆☆さんが 高校入学日から 体調不良を起こした理由がわかりました。結論から言えば 〇〇高校は ☆☆さんには合っていません。進路校の選択ミスですね、よって これからは 入学1ヶ月で転校できるところを提案します。おっと その前に どうして体調不良を起こしたか その説明をしますね」と言って
脳の機能局在図を示しながら なりたての高校生相手に 脳科学講座を始めました

 終始 彼女は 穏やかでした
 納得、納得と頷きながら 質問もたくさんしてきました
 
「視覚は 視力とは違うし 聴覚と聴力も違う」
「たくさんの情報 しかも 認知情報ではなく 感覚情報が いっぺんに入ってくると 自律神経は 心身に疲弊のサインを 自分自身に送ってくる」ということを 伝えたところで 彼女は 静かに頷くと ゆっくり ゆっくり 自分自身のことを 話し始めました

・・・つづく・・・